森政弘さんの訃報とその業績

訃報

森政弘さん（もり・まさひろ）が2025年1月12日午前、病気のために97歳で死去しました。彼は東京工業大学の名誉教授であり、ロボット工学の分野で著名な研究者でした。

森政弘さんの業績

ロボット工学の先駆者

森さんはロボット工学の発展に大きく寄与し、特に「ロボコン」と呼ばれるロボットコンテストの創始者として知られています。このコンテストは、学生たちが自ら設計したロボットを使って競い合うもので、技術者の育成に重要な役割を果たしています。

学歴と職歴

• 学歴: 森さんは1927年に三重県で生まれ、第八高等学校を経て名古屋大学に進学し、1950年に卒業しました。卒業研究では「太陽雑音を観測するための受信器製作」をテーマにしました。
• 職歴: 東京大学生産技術研究所に助教授として勤務し、1959年には技官から助教授に昇進。その後、1969年に東京工業大学の制御工学科に教授として着任し、1987年に退官しました。

研究業績

森さんは、化学プラントのサンプル値制御や人工心肺、人工腎臓の自動制御など、さまざまな分野での研究を行いました。1970年には「不気味の谷現象」を提唱し、ロボットに対する人間の感情的反応についての重要な概念を確立しました。また、1975年には沖縄国際海洋博覧会において、自律分散ロボット「みつめむれつくり」を出展しました。

教育と影響

森さんは多くの学生を指導し、彼の研究室からは数多くの優れた技術者が育ちました。特に、彼の弟子である竹中透氏は、本田技研でASIMOの開発に関与しました。さらに、彼は仏教や創造性教育に関する著書も執筆し、技術と哲学の融合を提唱しました。

受賞歴

森さんは、1994年に紫綬褒章、1999年に勲三等旭日中綬章を受章しました。