秋の夜長に楽しむお月見：地域ごとのユニークな風習とは？

お月見の由来と風習：日本の秋の風物詩を深掘り

お月見は、日本の秋の風物詩として広く知られていますが、その由来や風習には深い歴史と地域ごとの特色があります。この記事では、お月見の起源から現代に至るまでの風習、そして意外な地域の風習について詳しく紹介します。

お月見の由来

お月見の起源は中国にあり、平安時代に日本に伝わりました。当時は貴族が月を観賞しながら宴を楽しむ行事として始まりましたが、次第に一般の人々にも広まり、収穫を祝う行事となりました。特に、旧暦の8月15日に行われる「十五夜」は、最も重要なお月見の行事として知られています。

お月見の風習

お月見には、以下のような風習があります。

1. ススキを飾る: ススキは稲穂の代わりとして飾られ、魔除けとしても使われます。ススキを飾ることで、豊作を祈る意味が込められています。
2. 月見団子を供える: 月に見立てた団子を供え、収穫への感謝と豊作を祈ります。団子の数は十五夜にちなんで15個が一般的です。
3. 季節の収穫物を供える: 里芋や栗など、その時期に収穫された作物を供えます。これも収穫への感謝を表す風習です。

地域ごとの風習

お月見には地域ごとにさまざまな意外な風習があります。以下にいくつか紹介します。

月見どろぼう

月見どろぼうは、子どもたちが家々を回ってお月見のお供え物を「盗む」風習です。これは「お月さまが持って行ってくださった」とされ、むしろ歓迎される行為です。特に福島県や茨城県、群馬県、愛知県、三重県、和歌山県、宮崎県などで見られます。

まんだかな

長崎県五島の一部では、まんだかなという風習があります。お月見のお供え物を子どもたちが持ち去ることで、「お月さまが持って行ってくださった」とされ、めでたいこととされています。

団子突き

東京近郊の農村では、先を削った棒で団子を突いて盗る団子突きという風習があります。これは「お月さまがお供えを受け入れてくれた」とみなされます。

へそ餅

静岡県では、米粉をこねて平らにし、真ん中をくぼませたへそ餅を作り、新藁を束ねて立てた上に載せてお月さまに供えます。子どもたちは長い竿の先に鉤をつけて取りに来ますが、大人は見て見ぬふりをします。

柿たばり

三重県では、柿たばりと呼ばれる風習があります。子どもたちが「たばらしてよー」と言って回り、柿や栗などをもらいます。

ぼうしぼう

栃木県では、ぼうしぼうという風習があります。子どもたちが家々を回り、「ぼうじぼ」と呼ばれる藁鉄砲を地に打ちつけながら「大麦あたれ 小麦あたれ 三角畑のソバあたれ」などと唱えて豊作を祈ります。訪ねた家の方がお菓子やお団子、煮物などを用意し、お小遣いまでくれることもあります。

現代のお月見

現代では、お月見は家族や友人と一緒に楽しむイベントとして親しまれています。月見団子や季節の果物を供え、月を眺めながら食事を楽しむことが一般的です。また、月見うどんや月見そばなど、月を象徴する料理も人気です。

お月見の食べ物

お月見には、以下のような食べ物が欠かせません。

• 月見団子: 満月に見立てた丸い団子を供えます。地域によっては、団子の数や形が異なることもあります。
• 月見うどん・月見そば: 卵を入れたうどんやそばで、満月を象徴しています。

無月と雨月

天候が悪くて月が見えない場合でも、お月見を楽しむ風習があります。月が雲に隠れて見えないことを無月、雨が降ると雨月と呼び、それも風情ととらえます。

月見酒

中国から伝わった風習で、月を眺めながら酒を飲む月見酒があります。これは月に対する感謝や祝福を表すとともに、豊かな収穫や幸福を願う意味が込められています。