「究極のバラ」違法販売事件の真相とは？種苗法の重要性を解説

究極のバラの違法販売事件：種苗法の重要性とその影響

はじめに

2024年、大阪府警は「究極のバラ」とも呼ばれる品種登録されたバラの苗木を無断で増やし、フリーマーケットアプリで販売したとして、40代の女性を種苗法違反の疑いで書類送検しました。この事件は、種苗法の重要性とその影響について再認識させるものでした。

事件の概要

この事件の中心にあるのは、英国の「デビッド・オースチン・ロージズ」が開発した「イングリッシュローズ」の一部品種で、「究極のバラ」とも呼ばれています。このバラは、その美しさと香りで非常に人気があり、高価な品種として知られています。

違法販売の手口

東京都に住む40代の女性は、昨年9月から今年1月にかけて、デビッド・オースチン・ロージズの許可を得ずに苗木を増やし、フリーマーケットアプリで複数回販売していたとされています。この行為は、育成者の権利を侵害するものであり、種苗法に違反しています。

種苗法の基本概要

種苗法は、植物の新品種を保護し、育成者の権利を守るための法律です。この法律には主に以下の2つの制度があります。

1. 品種登録制度

新しい品種を開発した育成者は、その品種を登録することで独占的な権利を得ることができます。これにより、育成者は他者が無断でその品種を増殖、販売することを防ぐことができます。

2. 指定種苗制度

指定された種苗については、適正な表示や品質の識別が求められます。これにより、消費者や農業者が安心して種苗を購入・利用できるようになります。

違法販売の背景と影響

この事件は、違法販売が増えている現状を浮き彫りにしています。フリーマーケットアプリの匿名配送機能が、違法行為を助長する一因となっています。匿名配送は便利ですが、出品者の身元が分かりにくいことが問題です。

規制強化の必要性

農林水産省も規制強化を検討しており、苗木の流通ルートを把握する仕組みや、オンライン取引での販売者情報の明示を義務付けることなどが提案されています。これにより、違法販売を抑制し、育成者の権利を守ることが期待されています。

最近の改正点

2020年に種苗法が改正され、以下のような新しい規制が導入されました。

海外持ち出し制限

育成者が指定した国や地域以外への種苗の持ち出しが禁止されました。これにより、日本で開発された優良品種が海外に流出するのを防ぎます。

指定地域外の栽培制限

国内でも、育成者が指定した地域以外での栽培には許可が必要となりました。これにより、育成者の意図に反する地域での栽培を防ぎ、品種の特性を最大限に活かすことができます。

増殖の許諾制

登録品種については、農業者が自家増殖する場合でも育成者の許可が必要となりました。これにより、育成者の権利がさらに強化され、違法な増殖や販売を防ぐことができます。