堀場清子さんの訃報と業績

女性史研究家の堀場清子（ほりば・きよこ）さんが2025年1月10日、老衰により千葉県の高齢者施設で亡くなりました。享年94歳でした。彼女の死は、日本の女性史研究における大きな損失とされています。

堀場清子さんの経歴

• 本名：鹿野清子(かの・きよこ)
• 出身地: 広島県広島市
• 幼少期と被爆体験: 1930年10月19日に生まれ、東京で育ちましたが、1945年の原爆投下時には広島に疎開しており、14歳の時に爆心地から約9キロの地点で原爆を目撃しました。この体験は彼女の後の作品や研究に深い影響を与えました。
• 学歴: 早稲田大学文学部国文科を卒業しました。
• 職歴: 卒業後、共同通信社に勤務し、記者として活動した後、詩作と評論に専念しました。

主な業績

堀場さんは、女性の歴史や文化に関する多くの著作を残しました。以下は彼女の主な業績です。

• 詩人としての活動:
  • 詩誌『いしゅたる』を主宰し、詩作を通じて女性の視点を表現しました。
  • 受賞歴:
    • 1990年に『イナグヤ ナナバチ／沖縄女性史を探る』で第5回女性史青山なを賞を受賞。
    • 1993年には『首里』で第11回現代詩人賞を受賞。
    • 2010年には第14回女性文化賞を受賞しました。
• 研究活動:
  • 高群逸枝や原爆被害に関する研究を行い、特に女性の歴史や文化に焦点を当てました。原爆表現と検閲に関する研究も行い、戦後の日本における女性の役割を探求しました。
• 著書:
  • 『狐の眸 詩集』 昭森社 1956
  • 『空 詩集』 冬至書房 1962
  • 『アメリカの裏窓』 1968 (潮新書)
  • 『ズボンにかんする長い物語 詩集』 昭森社 1971
  • 『じじい百態 詩集』 国文社 1974
  • 『女たち創造者たち』 未来社 1986.1
  • 『青鞜の時代 平塚らいてうと新しい女たち』 1988.3 (岩波新書)
  • 『イナグヤナナバチ 沖縄女性史を探る』 ドメス出版 1990.1
  • 『堀場清子詩集』 土曜美術社(日本現代詩文庫) 1992
  • 『首里 詩集』 いしゅたる社 1992.11
  • 『禁じられた原爆体験』 岩波書店 1995.6
  • 『原爆表現と検閲 日本人はどう対応したか』 1995.8 (朝日選書)
  • 『習俗打破の女たち』 ドメス出版 1998.11
  • 『延年 詩集』 いしゅたる社 2003.12
  • 『鱗片 ヒロシマとフクシマと』 ドメス出版 2013.12
  • 『堀場清子全詩集』 ドメス出版, 2013.12

堀場清子さんの影響

堀場さんは、被爆体験を基にした「原爆詩」を詠むことで、戦後の日本における女性の歴史や文化に大きな影響を与えました。彼女の研究は、女性の視点からの歴史理解を深める重要な役割を果たしました。