太田一也さんの訃報とその業績
2025年1月15日、九州大学の旧島原地震火山観測所(現地震火山観測研究センター)の元所長で名誉教授の太田一也(おおた・かずや)さんが、島原市内の病院で亡くなりました。享年90歳でした。死因は慢性呼吸不全です。
太田一也さんの経歴
太田一也さんは、1934年12月14日に長崎県南高来郡国見町で生まれました。彼の学問的なキャリアは、九州大学での教育と研究に深く根ざしています。以下に彼の経歴を詳しくまとめます。
学歴
- 1958年3月: 九州大学理学部地質学科を卒業。
- 1959年4月: 貝島炭鉱株式会社に勤務。
- 1963年: 貝島開発株式会社に勤務。
職歴
- 1967年10月: 九州大学理学部助手として、長崎県島原市の「島原火山温泉研究所」(現・観測所)に赴任。
- 1971年4月: 九州大学理学部付属島原火山観測所が発足し、同助手に就任。
- 1973年5月: 九州大学理学部助教授に昇進。
- 1985年1月: 九州大学理学部教授に就任。
- 1986年3月: 九州大学理学部付属島原火山観測所所長に就任。
- 1998年3月: 九州大学を定年により退官し、その後名誉教授となる。
研究と業績
- 太田さんは、火山学と温泉学を専門とし、特に普賢岳の構造分析や温泉と火山ガスの研究に注力しました。彼は、千々石カルデラの概念を提唱し、1990-1991年の雲仙普賢岳噴火後にはその提唱が裏付けられる観測結果が相次ぎました。
- 彼は、普賢岳の噴火に際して、観測と防災活動において重要な役割を果たしました。特に、1991年の大火砕流の際には、住民の避難を促す提言を行い、多くの命を救いました。
著書
- 「雲仙火山」(1984年)
- 「火山と災害」(1989年)
- 「普賢岳噴火の教訓」(1994年)
- 「雲仙岳噴火活動の実態」(1995年)
- 「普賢岳鳴動す-太田一也聞書」(1999年)
- 「雲仙普賢岳噴火回想録」(2019年)
- 「雲仙火山 ー地形・地質と火山現象ー」(2024年)
受賞歴
- 1993年: 西日本文化賞
- 1996年: 国土庁長官防災功績者表彰
- 1996年: 長崎新聞文化章
- 1998年: NHK長崎放送局放送功労賞
- 2000年: 建設大臣土砂災害防止功労者表彰
- 2003年: 環境大臣温泉関係功労者表彰
- 2014年: 環境省九州地方環境事務所長・功労者表彰
- 2021年: 島原半島文化賞
通夜と葬儀の詳細
- 通夜: 2025年1月16日午後7時から
- 葬儀・告別式: 2025年1月17日午後1時から
- 場所: 島原市弁天町のマルイチ第一斎場。
ホッソー
太田一也さんは、火山学の分野で多大な貢献をし、地域の防災意識の向上に寄与しました。彼の業績は、火山活動の観測と防災対策において重要なものであり、彼の研究と活動は今後も多くの人々に影響を与え続けるでしょう。
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